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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2010 april

 

4月30日(金)
 朝、早起きして原宿にて先輩の引っ越しの手伝い。そしてらリサイクルに出す予定の大きな白い本棚を譲ってもらう。事務所に戻って、早速机などの配置換え。午後、メールなどの雑務。ドガ・ガードルとフレームの打ち合わせ。描ききった二枚組のドローイングを額装し、版画の作品についても相談。

 夕方、U邸のスケッチ。平面と屋根伏を決めて、1/100のモデルで検討。夜は、1/50のモデルを仕上げていく。深夜、代官山のMにてイラストレーターの杉原悠太くんの展示オープニングに顔を出す。独特な世界観をペンで描いて、デジタル化して展開する自由さが面白かった。ライブ・ペインティングも見させてもらって帰宅。

4月29日(木)
 午前中、メールなどの雑務とモデルチェック。午後、U邸の新しいバリエーションをスケッチ。夕方、完成したばかりのドローイングのスキャニング作業。明日、額装してもらうので準備する。

 夜、ベルリン時代のダンサーの友人が新作を踊るパートナーと二人で来所。コンテンポラリー・ダンス作品のためのポスターイメージを描く。A4の画用紙にペンでどんどん絵を描いていくのを上から定点撮影。ダンスのクライマックス部にこのイメージが背面の壁一面に早送りの映像としてプロジェクトションされる。手彩色とのバランスにおいてインプロされた不思議な絵が完成する。6月の本番が今から楽しみ。

 深夜、U邸の打ち合わせの準備を進める。

4月28日(水)
 午前中、メールなどの雑務。昼、山本浩二画伯が来所。U邸の能舞台の「老松」の制作について打ち合わせ。俵屋宗達からスペインのジュジョール、赤毛のアンまで沢山の話が出てきて、実に面白かった。夕方、渋谷にてエネルギー関係の打ち合わせ。専門特化した分野をうまく理論と実践としてリンクする組織作りができないか話し合う。

 夜、議事録制作、U邸のスケッチをしながら1/50のモデルをチェックする。屋根まで完成し、覗き込みながら内部のシークエンスをあれこれ確認する。

4月27日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昼、トゥーゲンハット邸で会って以来六年ぶり二度目のN君が来所。近況を話し、オープンデスクとして来たいとのことで快く承諾。午後、U邸のスケッチ。模型も着実に進む。

 夜、スウェーデンより建築家の友人が来所。三年前までオラファー・エリアソンのところで働いてベルリン在住だった時以来の再会。今働いているオランダの建築事務所の同僚三人と来て、模型や図面、ドローイングに版画も見てもらい話し込む。事務所にあるみんなから送られてきた「プロジェクト30」の「しおりたちを見たら「やり直したい」とのことで自分の「ピース」を探し出して持って帰ることになった。目黒の『月見草』にて食事をしながら東京の街の印象、ロンドンの教育事情、フロイドの家、スウェーデンの現代建築などについて盛り上がる。

4月26日(月)
 午前中、桑沢の第三講の準備。ベネチアのサンマルコ広場からシエナのカンポ広場、ローマのカンピドリオ広場/ナウ゛ォーナ広場などをピックアップして比較。ピラネージの版画も取り上げて、バロック建築の二つの聖堂を通してベルニーニとボッロミーニを準備。

 午後、U邸の模型をスタート。1/100から1/50にスケールアップ。細部の空間のボリュームや繋がりが明快に見えてくる。夕方、桑沢デザイン研究所へ。迷宮都市、ベネチアから話はスタート。パッラーディオとスカルパの建築を見ながら話し、ゴンドラのオールをひっかける「フォルコラ」について話す。造形的美しさの裏に機能的背景があるデザインが分かり易かったのか、学生たちの反応もよく、感想の多くはこの「フォルコラ」についてだった。後半は、シエナ/サン・ジミニアーノ/ローマとかけ足で話す。

 毎回授業の最後に読書案内をしているのだが、早速熱心な学生三人が先週のリストから『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(岡田利規、新潮社、2007)を読んで読書感想文を書いてくれた。総じて、小さな物語の「断片」の連続で構成された小説に演劇的空気を感じ、その細部が強調され強いリアリティーが印象に残ったとの反応。現代の若者が社会と付き合う上でのどうしようもない距離感の模索がこの小説において(その語り手が変わる手法も含めて)うまく表現されていて、イラク戦争のことなど興味はあるがコミットしていく方法がみつからない関心と無関心の間を描き上げているように思ったからリストアップした。興味を持ってくれた学生たちには「チェルフィッチュ」の芝居にも足を運んでもらいたい。その他に紹介した『空間へ』や『空間の詩学』、『脱病院化社会』を買って、読んでいるとの学生の声もあった。来週はGWでお休みなので学生たちにはスケッチブックとカメラを持って「旅」に出てもらいたい。お気に入りの本でも持って。

 夜、DUNE社長と久しぶりにNIDで会う。近況を話しながら会社としてのビジョンを聞いたりして大いに刺激をもらう。展示会などで激務が続いていると聞いてはいたが、元気そうで一安心。NIDも新しい洋服たちに彩られていきいきとしていた。

 深夜、「赤」のドローイングを完成させる。BGMは、ブラッド・メルド『Highway Rider』。丁度四ヶ月前に完成した「青」のドローイングと二枚組になった。思ったより時間がかかってしまったが、二枚組という依頼を受けてこそ生まれた都市風景のアイデアなので納得のいく作品に仕上がった。近く額装してお施主さんに引き渡し。

4月25日(日)
 午前中、国連大学にて『WorldShift Forum』のシンポジウムを聞く。多彩な顔ぶれによる多種多様なプレゼンを聞く。皆が現代における問題点をみつけて、それに対して意識をシフトしていく必要性を訴っていた。昼、「都会の森」プロジェクトの打ち合わせ。これからの進め方の具体性を模索する。

 午後、桑沢デザイン研究所にて『ふたつの住宅論 篠原一男と私の住宅』展を観て、入江経一/鈴木明/大松俊紀による対談を聞く。篠原一男の建築と携わった建築家としての入江さんの話と編集者としての鈴木さんに違った切り口があるが、当時から多木浩二の存在は大きかったことを再認識。入江さんのスケッチによる篠原建築の空間構成の分析が印象に残る。

 夕方、模型材料などを買って帰宅。模型をつくられるように机を広く整理して、桑沢の講義を少し進める。深夜、「赤」のドローイングを描き進める。

4月24日(土)
 午前中、ゆっくりする。昼、『建築家・篠原一男』(多木浩二、青土社、2007)を読み終わる。建築家の仕事を写真から思考まで深く哲学する他者を持ちえた篠原一男の魅力について考える。明日の桑沢での展覧会と対談を聞いてまた考えたい。『ピラネージ建築論 対話』(ピラネージ、アセテート、2004)を再読する。ローマの建築家というイメージを持っていたが、二十歳までベネチアで過ごしていたことを知る。この本を読んでから、版画家としてのピラネージから建築家としての認識にシフトした。

 夕方、U邸の断面図をじっくり進める。夜、コミッションされた「赤」のドローイングを集中的に進める。線を描いては、水彩で手彩色を施す。昨年末に完成させた「青」のドローイングとの連作なので似て非なる二枚組になってきて、イメージしていた緊張感が生まれてお施主さんも喜んでくれるだろう。

4月23日(金)
 午前中、桑沢の第三講義のスライド準備を引き続き進める。ベネチアとスカルパの話は大方ストーリーが出来上がる。午後、U邸の平面図をスケッチ。敷地模型を見ながらボリュームの確認と立面のアイデアを考える。

 夜、大学からの親友と二人で飲む。共に建築を勉強し、それぞれミラノとベルリンに4年住んだことなどの共通点も多く、今、働いている分野は違えど持っている感覚や思考をぶつけ合える大切な仲間。石川県の美味しい日本酒をもみながら盛り上がる。

 深夜、コミッションされた「赤」のドローイングを描き進める。いよいよ完成間近。来週中には完成させたい。

4月22日(木)
 午前中、桑沢の第三講義のスライド準備。都市はベネチア、スカルパをピックアップ。午後は、U邸の平面を進める。一日中雨だったが、事務所に籠って作業。

 夜、九時半に青山ブルーノート。昨年の来日時に逃したジョヴァンニ・ミラバッシのライブを聴く。三日公演の中日ということもあって、演奏はレコーディングされていて、新譜ばかりを熱演。ミラバッシの華麗なピアノに酔い、久しぶりの生演奏を聴きながら僕にとって音楽は思考の時間であることを再確認。音楽に包まれると映像や言語といった音楽とは違った情報が頭の中で駆け巡り、沢山の化学反応が生まれる。

 深夜、リフレッシュされた興奮状態でまたU邸のスケッチをして、ドローイングも描き進める。ベルリンではフィルハーモニー・ホールがあったが、その時間を東京でみつけねばならない。

4月21日(水)
 午前中、早稲田大学にて石山修武先生とエネルギー関係についての打ち合わせ。石山さんにも一年越しで「プロジェクト30」のしおりを着色してもらう。目の前で色鉛筆を使って着色する石山さんを見ながら世田谷村の地下室で青焼きの上に赤を入れている姿がフラッシュバックした。続けて古市徹雄都市建築研究所にてC02の話を伺う。

 午後、青山の「icベルリン」事務所にて打ち合わせ。社長のラルフさんと眼鏡のデザインについて。アイデア・スケッチを見てもらい、あれこれと仕事の進め方を決めていく。幻想都市のドローイング群も気に入ってもらい、眼鏡デザインという新しい展開になったが、大いに楽しみながら頑張りたい。とても生産的な打ち合わせができたのも、やはり英語という言語のダイレクトさにもあるように感じた。

 夕方、U 邸のスケッチを進める。夜は、中学時代、大学時代、ニューヨークで知り合った友人らとホームパーティー。日本だとあまりない感覚かもしれないけど帰国子女だと「友達の友達も友達」という感じで盛り上がる。メガガンダムのプラモデルをプレゼントされ、ハーバード大学に旅立つ友人が銅版画を購入してくれた。

4月20日(火)
 午前中、渋谷で印刷関係の打ち合わせ一本。午後、メールなどの雑務。U邸の立面と断面をスケッチ。スタッフと今後のスケジュールについて話し合う。

 今日、「プロジェクト30」のしおりが中学時代の友人から届く。二児の母になり、千葉での新生活を送っている彼女からトロントの街の絵が描いてあるカードに素敵な文章が綴られていて勇気づけられる。自分の三十路を記念してのプロジェクト、返信はもうすぐ100枚になる。

 深夜、頭を切り替えるのに「icベルリン」の眼鏡デザインのラフスケッチ。建築空間とは全く違ったスケールで自由に紙の上でデザインを展開する。

4月19日(月)
 午前中、桑沢の第二講を仕上げていく。先週の講義からあれこれと幅を広くスライドを作り、学生たちの提出物を再度チェックして講評するものをピックアップ。「家から小学校前の地図」を書いてもらったが、それぞれ個性的で記憶の定着が映像か言葉のどっちかであることや、着目している視点が印象的。

 午後、U邸の平面を更に進めていく。夕方、桑沢デザイン研究所へ。都市はウィーンを取り上げる。クリムト/シーレから分離派について説明し、そこからアドルフ・ロースの建築を話す。装飾をなくしていく外観、「白いファサード」がモダニズムに繋がっていくのを共に1930年に完成した「ミューラー邸」とミースの「トゥーゲンハット邸」の比較で話す。ワーグナーの郵便局とホラインのハース・ハウスの都市に対する試みを説明。普遍性を求めたモダニストの建築家に対して、固有性としての画家、フンデルトウ゛ァッサーの世界観についても話す。ウィーンという都市に対して新旧の対比が「装飾」というキーワードを軸に読み解けることを伝える。あっという間の三時間、最後に参考文献を幾つか紹介。読み終わった人たちの感想文を楽しみにしたい。旅の講義はイタリアへと続く。

 夜、ベルリン時代の友人らと渋谷で誕生日の祝杯。近況報告をしながら楽しく盛り上がる。深夜、『建築家・篠原一男』(多木浩二、青土社、2007)を読み進める。

4月18日(日)
 午前中、ゆっくり掃除と洗濯、メールなどの雑務。午後、桑沢のレクチャー・スライドづくり。あまりにも天気がいいから夕方、外苑前の方までサイクリング。公園でゆっくり読書。

 夜、『21グラム』(監督:アレハンドロ・イニャリトゥ、2003)のDVDを観る。命をテーマに挑んだ力作。三人の役者が見事にそれぞれの心情を演じきる。ストーリーも大事だが、その物語を細かく刻み、時系列を無視してシャッフルすることで断片化されたディテールが強調され印象に残る。監督が後に作る『バベル』にも思わぬ点が線となっていく展開に一貫した意志が視える。

4月17日(土)
 午前中、桑沢のレクチャー・スライドづくり。旅を通しての「記憶の定着」という話をしたが、まさにこのスライドづくりが僕にとっての記憶の定着作業。

 午後、世田谷美術館へ。石山修武による『生きのびるための建築 真夏の夜の夢の又夢・連続21講その後』と題して、出版記念レクチャーを聞きにいく。本を読んでいたので内容はもちろん知っていたのだが、石山さんの声を通して立ち上がるイメージは、活字を通して読み解くそれとは圧倒的に異なるものであり、建築家という枠を越えて固有性と社会性を同時に獲得する内容に刺激を受けると共に、学生時代を思い出しながら身が引き締まる。最後に難波先生が登壇し、対談するというおまけつき。「知的公開喧嘩」の様相を見せながらも、示唆に富んでいて面白かった。

 夕方、桑沢デザイン研究所にて先生方と学生の意見交換会。初めて他の先生方と顔合わせ。みなさんとても熱心でそれぞれの選ぶ言葉は違えど、学生たちに頑張ってもらいたい思いを具体的に述べていた。僕の場合は、講義なのでなかなか学生との双方向のコミュニケーションが生まれないので何か工夫したい。

 夜は、そのまま先生方と学生を交えて懇親会。ビールも手伝って、いつになく良く喋った楽しい夜となる。

4月16日(金)
 午前中から写真のアーカイビングと桑沢のレクチャーを準備。ウィーンのスライドを構成していく。クリムトのことを話そうと思って、ずっと観ていなかったDVD『クリムト』(監督:ラウル・ルイス、2006)を観る。クリムトが死の直前にその華やかだった人生を回想していくお話。しかし、何かテンポが悪くて、短い映画だが途中からはや送りでみる。

 夕方、白井版画工房へ。アクアチント作業を進めて、試し刷り。銅版画作品がムラなく綺麗に夜の風景になった。

 夜、U邸のスケッチをする。平面を固めていく。深夜、買ったばかりの『1Q84 BOOK3』(村上春樹、講談社、2010)を読み始める。BOOK1、2を読んでから時間が空いたから復習してから読もうと思ったけど、我慢できずに読み始めたものの、すんなりとムラカミ・ワールドに入っていった。

4月15日(木)
 朝、出社したスタッフからガラス工房で作った手作りのグラスをプレゼントされる。生憎の曇り空(個人的には快晴より好き)だが晴れ晴れとした気持ちで31歳の誕生日を迎える。午前中、ホームページのアーカイビング作業と桑沢の来週のレクチャーのスケッチ。
取り上げる都市はウィーン。

 午後、U邸をエスキース。平面を整理して、新しい可能性をあれこれ考える。一日中、家族や懐かしい友人たちからメールや電話をたくさん頂いて嬉しい気分になる。ロシアでドクター論文を書いているドイツ人の友人も覚えていてくれて電話がある。秋に卒業したら東京に遊びに来たいとのこと。今から再会が楽しみだ。

 夜、友人たちと祝杯。近況を話し、近く一緒にプロジェクトをすることになった。深夜、帰宅して「赤」のドローイングを進める。BGMは、最近のお気に入り、メルドーの新譜『Highway Rider』、実に素晴らしい二枚組。奥行きのある奇跡的な音のアンサンブルが多様な表情をもって心に響く。

 年に一回の誕生日、何ら他の一日と変わらないが、当たり前のことの幸せを実感させてくれる大切な区切り。今年もしっかりと精進して頑張っていきたい。

4月14日(水)
 午前中、メールなどの雑務。「新しい森」プロジェクトのドローイングのテキストを書く。午後、U邸のスケッチを進める。夕方、桑沢の学生さんたちの提出物に目を通す。「小学校時代の家から学校までの地図」を即日課題として描いてもらったのだが42人がそれぞれの視点で描いてくれていて、都市のとらえ方が分かって興味深い。

 夜は、何冊かを雑読し、「赤」のドローイングの着色をスタート。年末に描いた「青」との二枚組として進めている。こうしてコミッションされた仕事は他者の想像力が介入するので自分でも面白く作業が進む。日をまたいで31歳になる。この一年を振り返ると初めてマスターズを観戦し、「プロジェクト30」を準備していた去年から今年は大きな階段を上り始めたので、家族、友人への感謝の気持ちを忘れずにしっかりと頑張っていきたい。

4月13日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昼、来京中の父とランチ。午後、GAギャラリーにて『GA PROJECT 2010』展を観る。久しぶりにGAギャラリーに行ってみるといつものメンバーに知らない建築家が沢山いたのが新鮮な発見。個人的には鈴木了二さんの住宅に共感した。

 事務所に戻って作業。CGの仕事をチェックして、新しいコンペの進め方を検討するも、今回は規模と仕事量として断念するかもしれない。夜は、U邸のスケッチ。深夜、何冊からの本を雑読。『建築はいかに社会とかいかにつなぐのか』(五十嵐太郎、彩流社、2010)を読み終わる。タイトルからも分かるように建築と社会の繋がりを色んな角度から検証した網羅的な内容になかなか考えの及ばないところまで刺激を受ける。『明恵 夢を生きる』(河合隼雄、京都松柏社、1987)を読み始める。兼ねてから興味があった夢について考える切り口をみつけたい。

 最後に、宣伝を一つ。今週の土曜日(17日、13時半会場の14時開演)に僕の師匠の石山修武先生のレクチャーが世田谷美術館で行われます。僕にメールをくれた桑沢の学生さんたちには伝えたが月曜日の授業でアナウンスすればよかったのですが、きっとSDコースのみなさんにもとても興味深いためになるレクチャーになるので参加してみてください。まだ学生さんたちの顔と名前が一致しませんが、来られた方は会場で声をかけてください。詳しくはリンクの石山修武研究室のページでどうぞ。

4月12日(月)
 午前中、メールなどの雑務。午後、桑沢のレクチャーの最終準備。夕方、桑沢デザイン研究所に初出社。スペースデザイン夜間コースの一年生にレクチャー。初授業ということで42人が全員出席。「旅」を通して世界を知り「他者」との接触を繰り返しながら自身の「物差し(価値体系/美意識)」をつくってほしいというお話。第一講は、ギリシャ。アテネとサントリーニ島を紹介しながらピキオニスとコルビュジェを取り上げる。講義を通して学生の皆には、建築/空間デザインを好きになってもらい、実際に自分の枠を越えて旅に出たいと思うきっかけを与えたい。僕自身が10年前に行った旅を自分の言葉で話すことで西洋建築/美術の基礎知識をもってもらいたい。

 三時間のレクチャーが無事終わり、雨の中足早に帰っていたら、元気のいい学生たちにナンパされて一杯飲みに行く。学生10人とレクチャーの感想やこれからの展開を話す。みんな生き生きとしていて、質問や感想を通して僕の言いたかったことがちゃんと伝わっていることが分かり一安心。ジェームソンのダブルロックがいつもより美味しかった。

 深夜、帰宅して「赤」のドローイングを少し描き進める。これも月内には完成させて、お施主さんに届けたい。

4月11日(日)
 徹夜明けだったので、昼までぐっすり寝る。天気も良く、事務所の机を整理する。午後、若松河田の本部道場にて合気道の稽古を見学させていただく。今まで見たことのない世界がそこにあってピリッとした空気を感じて、みなさんの稽古を見ながら道場の設計について空間のイメージをあれこれ考えていた。

 夜、『愛の悪魔』(監督:ジョン・メイバリー、1999)を観る。尊敬する画家フランシス・ベーコンを描いた映画。彼の壮絶な人生をうまく表現していた。動きのあるベーコンのストロークがこうして動きのある映像になると妙にしっくりきた。

4月10日(土)
 深夜からのモデルメイキングも、気がつけば太陽が昇り、明るくなっていた。スケッチと図面化した二つのバリエーションが模型として完成し、写真を撮る。すべての資料をまとめてプレゼンテーションを作り上げる。

 午後も作業が続き、完成。夕方、青山ブックセンターへ。フクヘンこと編集者の鈴木芳雄さんと写真家の杉本博司さんの対談を聞きに行く。『少年スギモトは、いかにしてHiroshi Sugimotoとなったか』と題されて、鉄道を撮り続けていた少年時代から話が始まった。美術館の中で観る杉本作品の原点を鈴木さんが鉄道やカメラ、器用仕事を切り口に時代背景も含めて探っていくようで面白かった。何より、中学時代に押入れを暗室に改造する程の早熟ぶりに驚いた。また作家としての作品に対する説明責任について考える際に、後からうまく説明するために考えられた「コンセプト」なども、基本的には「撮りたいから撮る」だけであって、遡及的にそう考えていたんだと無意識に思い込んでしまうことを明確におっしゃっていたのが印象的だった。

 すぐさま会場を後にして内田樹先生夫妻とU邸の打ち合わせ。中華料理を食べながら、プレゼンテーションを進める。とても生産的な話が出来た。帰路につくと、どっと徹夜の疲れが出て、倒れ込むように寝る。

4月9日(金)
 午前中、立面図のスケッチ。新しいアイデアを試す。午後、プレゼンの資料づくり。図面とスケッチを整理。模型も同時進行で進める。気がついたらあっという間に深夜。こうして少しずつ出来上がってくると興奮して寝られなくなる。というよりプレゼンの質と量を上げる作業は エンドレスに続く。夜食も食べて、集中しながら徹夜の模型作り。

4月8日(木)
 朝から気持ちいい快晴。午前中、U邸の内観パースを作成。午後、赤坂のKLEEにて「都会の森」プロジェクトのキック・オフ・ミーティング。一足先 に完成させたドローイングを持って、コアメンバーの共通認識を確認しながらの打ち合わせ。面白くて画期的なプロジェクトが近く動き出せると思うので、その時に発表したい。

 夕方、事務所に戻って内観パースに着色し四枚を完成させる。続けて、立面と断面のスケッチに平面のチェック。気がついたらまた深夜になっていたので読書して寝る。

4月7日(水)
 何故かやったことのないラグビーをやって、トライをするところで夢から覚めた不思議な気分。午前中、U邸の立面図をスケッチ。二つのバリエーションを整理。次は、図面化とモデリング。

 午後は、桑沢のレクチャーのスライドの準備。建築写真のアーカイビングと同時進行なので思った以上に時間がかかる。夜、兄貴宅にて甥っ子と姪っ子と遊ぶ。成長著しい子供たちの笑顔に癒される。帰り、自転車で中目黒の方を通ると桜が恐ろしく綺麗だった。この冷たい空気に耐え、暗闇の中輝きを放つ桜に見とれてしまう。

 深夜、メールなどの雑務。デスクワークを整理してからU邸の内観パースを描く。モデルを作る前に内部のイメージを伝えるスケッチ。断面的な空間の動きを意識して描く。

4月6日(火)
 今日からオープンデスクとしてヘルプしてもらう。午前中、建築写真のアーカイビング作業。午後、桑沢のレクチャーのスライドを組み立てはじめる。夕方、U邸の新しいバリエーションのスケッチ。断面と立面を進める。平面的な展開とは違ったアイデアを試す。

 夜、ベルリン時代からのダンサーの友人が来所。新しくパフォーマンスを考えているとのことで打ち合わせ。代官山の『M』でイベントとして進める可能性を探る。

 深夜、続けてトレーシングペーパーにU邸の立面を描く。恵比寿のスポーツバーにチャンピオンズリーグを観に行こうと思ったが、明日のことを思い我慢。読書しておとなしく就寝。

4月5日(月)
 午前中、メールなどの雑務とコンペの条件整理。外は、すっかり雨模様。桜もきっと散ってしまうだろう。昼、建築写真のアーカイビングの土台をつくる。午後、環境問題についての組織作りについて打ち合わせ。夕方、安部アトリエにてコンペの打ち合わせ。

 夜、U邸の断面スケッチ。たっぷりと平面を考えた後で断面の関係性を展開する。深夜、桑沢での講義のフレームを考える。

4月4日(日)
 午前中、メールなどの雑務。U邸のスケッチ。午後、建築写真のアーカイビング作業。眼鏡デザインのためのラフ・スケッチを描く。再び、U邸の平面バリエーションを考える。

 夜、新しいコンペの資料を読み込む。深夜、銅版画に手彩色を施す。

4月3日(土)
 午前中、新国立美術館にて『ルノワール/伝統と革新』展を観る。印象派の巨匠の展覧会だけあって会場は賑わっていた。作品が時系列に並んでいた訳ではないのでそれがルノワールの技法の変化を強調していたように思う。輪郭というものが消えて、絵を鑑賞する距離で見え方の変わるキメ、精度のようなことを考えながら観賞する。続けて、21_21にて『クリストとジャンヌ=クロード』展を観る。ドローイングは、観たことがあったがあれだけ沢山の作品を一同に観たのは初めてで、その振れることのない一貫した芸術性の強度に驚嘆する。何より、2週間の花を咲かせるのに20年以上の二人の努力に感動した。ドキュメント映像も素晴らしかった。

 午後、芝公園にてお花見。ベルリン時代の友人たちを中心に大人数でワイワイ盛り上がる。桜は満開でもちろん美しかった。

4月2日(金)
 午前中、メールなどの雑務。午後、U邸の平面を整理する。新しいコンペの資料をチェックする。

 『生きのびるための建築』(石山修武、NTT出版、2010)を読み終わる。大学時代に受けたレクチャーを総評したような本で、当時とまた違った受け止め方をしている自分を確認した。沢山の「サンプル」が点から線となって建築の可能性をみつける視点を提示されている。縦書きではなく、横書きの本にしたところに何かグローバルな意図を感じた。

4月1日(木)
 午前中、メールなどの雑務。午後、建築写真のアーカイビング。桑沢デザインでのスライド準備を始める。U邸のスケッチ。深夜、「赤」のドローイングを進める。

 

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