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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2010 september

9月30日(木)
 午前中、メールなどの雑務。驚いたことに、昨日依頼したiPhoneが届く。切実なクレームに対して迅速な対応をしてもらった。U邸の図面をブラッシュアップしながら模型の仕上げ作業も進める。模型の完成と共にあれこれと検討してたら屋根の新しいアイデアが浮かび、早速取り入れる。外は一日中冷たい雨が降っている中、夜まで集中してU邸を進める。次回打ち合わせ時のスケジュール等も決まって来た。

 深夜、ウェルカムボードに着色して完成。色彩のバランスもうまくまとまり、きっと結婚する友人夫妻も喜んでくれるだろう。こうしてまた初めての試みでいつもとは違った空気感を持ったドローイングが出来た。チャリティーイベントのローザスに作品提供した時もそうだったが、今回も新しいことに挑戦することで自分の不自由さと自由でいることの大切さを実感した。

9月29日(水)
 いよいよiPhoneが調子悪く、連絡先がなくなるは、フリーズするはでコールセンターへ。ソフトバンクと長電話。アップル社と長電話。結局プレミア取り替えということで新しいiPhoneを届けてもらうことで解決。しかし、午前中が潰れた。最短で土曜日には届くらしい、現代文明、やれやれ。

 午後、メールなどの雑務、出張のアフターケアに追われる。新しい案件などもあり、どたばた状態。U邸の図面チェック。夕方、屋根の打ち合わせ。複雑な形態をしているのでガルバリウムの葺き方や雨の逃がし方、防水についてあれこれと意見交換。設計の密度をアップさせていく。その後も展開図をチェックして平面図の微調整を進める。

 深夜、ウェルカムボードを描き進める。もうすぐ完成、あとはバランスを考えて着色作業を残すのみ。思い立って『空間へ』を拾い読み。磯崎さんの文章から立ち上がる人格らしきに確信犯的強度を感じる。SがKK社で働いてAが語る。

9月28日(火)
 午前中、大理石のテーブルのある台所で小林さん夫妻とゆっくり朝食をとりながら林業や建築のシステムについて意見を交換する。しかし、木の流通において決定的なシステム不良を起こしていることを頭ではなく、ある種体で体験するというか、現況に俄然としてしまう。何か打開策はないかとない頭を絞って考える。森のある山の風景は美しいといったノスタルジックな感情とは全く異質な問題点であるように感じる。川上の
流通/市場を考える上で、川下の山の現場を知ることは本質的な勉強になった。

 美山町より、最寄りの電車の駅まで車で30分ほど送ってもらう。三両しかない電車に揺られて、車窓からののどかな風景を楽しみながら日本の林業のあり方について絶望するも、何かしらの努力をしたいと思う。京都で乗り継いで、兵庫県の三田まで行く。山本浩二画伯と合流し、建設会社の社長さんを紹介してもらい、五年前に建てたという建築を見学させてもらう。実に丁寧な木工事の仕事であれこれと相談させてもらう。

 夕方、山本先生と一緒に天神で食事。美味の魚料理を四皿頂き、今後の展開を話し合う。その後、梅田にてお施主さんと合流し、設計の打ち合わせをする。一時間ちょっと集中して打ち合わせをして新大阪から新幹線に乗って帰宅。車中『住まいと家族を巡る物語』(西川祐子、集英社新書、2004)を読み始める。

 深夜、荷解きもほどほどにデスクワークをして寝る。この二日間は収穫の多い、また大きな宿題をもらったような出張であった。これからもしっかりと身が引き締めて進めたい。

9月27日(月)
 早朝、品川から新幹線に乗って京都へ出張。新都ホテルにて美山町の「哲学する木こり」小林直人さんと建設会社社長さんと打ち合わせ。設計中のU邸にてどれだけ美山町の木を使用できるかということを中心に「木拾い」の打ち合わせ。二時間ちょっと意見交換をし、小林さんの運転で五月のGW以来の美山町へ向かう。途中、美味しいそば屋にて遅めの昼食。

 夕方前、美しい山々が続く美山町に到着し、小林さんの持つ山の一つを見学させてもらう。内田邸/道場のために一年以上前に伐採した山を見させてもらう。80年以上もの間スクスクと育った場所には、やはり自然の強度らしき「気」を感じた。なんとその昔、そこには「寺」が建っていたとのことを教えてもらう。

 夜、美山町の日役料理である「トンちゃん」を頂く。野菜と鶏肉を使った鉄板料理。昨日脱穀したばかりのホクホクな新米も頂く。思えば、GWに来た時は、翌日に田植えをする予定であったことを思い出す。

 美味しいお酒も飲みながら、林業/流通/建築/映画/山登り/哲学などエンドレスに話が続く。実に濃厚な時間を過ごし、深夜倒れ込むように布団に入って寝る。

9月26日(日)
 午前中、メールなどの雑務。野菜炒めのランチを食して上野へ。雲が美しい秋空とあって上野公園は家族連れを中心に大混雑。芸大の美術館にて『シャガール』展をゆっくり見る。22歳の時に描かれた自画像から始まって、独自の世界観を確立した晩年の油彩までを見せる充実の展示。シャガールとロシア・アヴァンギャルドの関係やマティスを始め、パリでの影響の大きさを手に取るように見ることができたのが印象的。舞台のデザインや意匠のスケッチもまたシャガールの芸術性の深さを感じさせる。次の展示は、版画家のデューラーらしい。充実した展覧会を見るといつも頭がいっぱいになって心地よい疲労感にあふれる。

 深夜、ウェルカムボードを描き進める。いよいよ完成間近。明日からの京都出張の準備も進める。

9月25日(土)
 午前中、メールなどの雑務。雲一つない気持ちの良い秋空に誘われて中目黒のカフェにてゆっくりランチと読書。昨日買った山田修二さんの写真集もゆっくり眺める。それにしても目黒川が奇麗に借景されて美しかった。

 午後、東中野にてトロントの中学時代の友人の結婚式。12歳から知ってる連中で楽しくワイワイ過ごす。未だに9人で仲良くしているが、気がつけばもう6人が結婚したことになる。懐かしい話盛りだくさんで、皆がハッピーな気持ちになる結婚式だった。

 夜は、部屋と事務所の掃除。自分の生活の場を奇麗にして頭の中も整理整頓する。ウェルカムボードをもう少しで完成させる。

9月24日(金)
 午前中、メールなどの雑務ともろもろの電話対応。来週早々、京都にて打ち合わせをして美山町の山に入ることになる。午後、渋谷で打ち合わせを済ませて、ギャラリー「ときの忘れもの」に行くも、目当ての奈良美智24歳×瑛九24歳/画家の出発展が終わっていて、次のマンレイ/宮脇愛子展の準備中だった。しかし、山田修二さんがいらしていて、サイン写真集を購入する。『日本旅1961-2010』と題した作品集で実に奥行きのある時間の中の日本の風景が切り取られていて素晴らしい。

 夕方、汐留のパナソニックにて照明計画/設備に対するキックオフミーティング。U邸のプレゼンをしてあれこれとショールームを見ながらの検討。着実にできることをまとめていきたい。そのまま、赤坂の白井版画工房へ。昔の銅板を引っ張りだしてブルーブラックのインクで刷り作業。集中して四枚を仕上げて終了。

 深夜、一日の仕事の整理、デスクワークとメールなどの対応。ウェルカムボードのペンを進める。昨日の雨から急に寒くなったので、今年は秋がないのだろうかと心配になる。

9月23日(木)
 午前中、メールなどの雑務とデスクワーク。昼、青山の「月見ル君想フ」にてジョニー・ラ・マラマのライブを見る。先日知り合った大沢さんの紹介で、ベルリン在住のスリーピースバンド。ギター/ベース/ドラムでフリージャズの世界を満喫。その枠に捕われない音楽性の豊かさににベルリンらしさを感じた濃厚な時間。
外は、雨で秋を飛ばして初冬の空気。

 午後、多摩川で大学時代の友人達が主催したBBQに顔を出す。久しぶりの再会もあり、懐かしい連中とワイワイ近況報告。ここでも友人のギターライブを聴いて、寒さに負けて早々と帰宅。温かい湯船に入って体調管理。

 夜は、U邸の図面チェックとウェルカムボードを少し進める。あと一週間で九月も終わってしまう。残り三ヶ月、激動の2010年を気持ちよく締めくくるためにもできることをしっかり頑張りたい。

9月22日(水)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の照明計画をスケッチ。
午後、模型のチェックに立面を更にあれこれスケッチする。天井伏図を仕上げて打ち合わせの準備が完了。集中して作業を進める。

 夜は、お施主さんに誘われて、錦糸町のすみだトリフォニーホールにて西村智美指揮、『ロミオとジュリエット』を鑑賞。実に久しぶりのクラシックコンサートにワクワクしながら楽しむ。メロディーの反復が物語を伝える上で実に効果的であることを再確認。やはり、もっとコンスタントにクラシックコンサートを聴きに行く環境にしたい、ほぼ毎週、ベルリンのフィルハーモニーホールに行っていた時のように。

 深夜、ウェルカムボードを描き、着色作業も進める。少しずつ全体像が立ち上がってきた。

9月21日(火)
 午前中、メールなどの雑務。ICベルリンの眼鏡のプレゼンボードを作る。僕の描いたドローイングを下に眼鏡のテンプルをデザイン/作成したので、それが分かるようにコラージュしてポスターらしきをつくる。作業が楽しくなって、一気に三パターンの画像を製作し、メールで送信。ベルリン/東京のコラボは何の問題もなくできることを実感する。

 午後は、U邸の天井伏図をスケッチ。あれこれ照明計画を練る。キッチン関係のやり取りをお施主さんと進める。また、先日のAプロジェクト主催のトークイベントが雑誌にレビューとして紹介されることが決まった。夕方、ICベルリンのラルフ社長から早速返信。一言、「SUPER(ズーパー、訳:素晴らしい)」とのこと。年内の限定販売で進めてもらう。

 夜、ベルリンより一時帰国中の友人から電話があり、目黒でお茶。二人目の子供を産んで、ベビーカーを押しながらの再会。短い時間だったが、近況報告も含め、大いに盛り上がる。ベルリン時代は、ご近所さんだったので帰り際などよくお茶したり食事をしたもんだ。元気そうで何より。また帰国するまでに事務所に遊びに来てくれるとのこと。

 深夜、デスクワークをして、友人のウェルカムボードを描き進める。もうすぐ折り返しといったところか。

9月20日(月)
 午前中、二つの吉報が届く。まだ詳細はここでは記せないが、近く発表したい。敬老の日、石川県に住むおばあちゃんに電話。喜びを共有できる家族の存在の大きさを日々実感する。ホームページのアーカイビングと「MANIFEST」を追記する。

 午後、U邸の図面チェックと設計変更の模型を修正する。スタッフの模型製作を確認しながら、天井伏図と展開図のスケッチを進める。夜な夜な作業で、古い模型が切り取られて、新しい白模型が挿入された。イメージ通りの仕上がりに満足する。

 深夜、友人のウェルカムボードを描き進める。良い感じに都市風景が立ち上がって来た。少々の着色も試みる。今日は、阪神が巨人に勝って、中日も負けたので、明日からの3連戦でマジックを点灯させその勢いで優勝してほしい。キーになるのは、マートンと新井か。

9月19日(日)
 午前中、メールなどの雑務。午後、U邸の図面チェック。最新の構造図との照らし合わせ作業。細かいポイントをチェック。

 夕方、千代田アーツ3331に行って、展示の搬出。今回、こうした素晴らしいスペースで作品を多くのみなさんに見てもらえて良かった。大きなドローイング二点を電車で自己搬出。夜、代官山でキャンドル教室を立ち上げる友人と打ち合わせ。スタジオの中に僕の銅版画を飾ってもらうことになり、作品群を見てもらいながらあれこれ選んでもらう。幾つの作品をどれだけ展示するかが決まらず、ポートフォリオを置いていってじっくり選んでもらうことにする。

 夜は、中目黒で美味しいお好み焼きを食す。

9月18日(土)
 午前中、メールなどの雑務。ICベルリンの眼鏡デザインがいよいよ商品化に向けて最終プロトタイプの写真が届く。すごく満足のいくでき。限定販売で近く生産ラインに乗るとのこと。まさか、自分の好きな眼鏡ブランドのテンプルに僕のドローイングが採用されるなんて。ラルフ社長との出逢いがすべての始まり。

 夕方、六本木ヒルズへ。東京フォトにてギャラリー21のブースでキュレーターの太田菜穂子さんとトークイベント。太田さんが丁寧に写真の楽しみ方を言葉にして説明してくれた。時間が映り込んでいることや被写体に対する最大の敬意こそが写真の質になっていくことを感じる。最後にアートプロジェクト『Forest Among Us』について話す。「写真の力」ということを軸にいかに東京に宿る魅力を「森」という切り口から語れるかがポイント。建築家としてのコミットメントについても考えて、話す。

 夜、江ノ島にて「aosola/青空空間」のオーナー達と打ち上げ的に飲む。思えば先週オープニングだったが、無事ヨガスタジオとしても盛況し、機能しているとのことで楽しい時間を過ごす。七里ケ浜全体を、地域を盛り上げる拠点になってもらいたい。帰りの電車でぐっすり寝る。

9月17日(金)
 午前中、メールなどの雑務。『移行期的混乱』(平川克美、筑摩書房、2010)を読み終わる。今という時代を客観的に捉えるために良質の地図をもらった感じの本。ビジネス論かと思って読み始めると、宮本常一を引きながら日本人の労働意識の変化に着目し、今が新しいパラダイムシフトではないのかと解く。もちろんそれを明確に言語化するのは難しいが、その意識を持ち続けることで思考停止状態を抜けられるヒントがあるのかもしれない。

 昼、U邸の立面図のスケッチを続ける。午後、PSの担当者が来所、一階道場と二階住宅部の空気の質のコンセプトを整理して今後の方針を固める。夕方、再度立面図と展開図のスケッチと図面整理。

 夜、ウエルカムボードを描き進める。深夜、思い立って『ユージュアル・サスペクツ』(監督:ブライアン・シンガー、1995)のDVDを見る。10年以上前に見て以来だったが、やはりスリリングなサスペンス映画でケビン・スペイシーの演技が群を抜いていて 、面白かった。サスペンス繋がりで次は、『LAコンフィデンシャル』が見たくなった。

9月16日(木)
 午前中、メールなどの雑務。週末の打ち合わせを整理して議事録を内田樹先生夫妻に送信。来週の照明の打ち合わせなどを調整。

 午後、ベルリンとメールのやりとりを続ける。集中してU邸の立面図に手を入れる。開口部のアイデアをあれこれ模索する。光の取り入れ方を工夫したい。構造図との照合も進めて、意匠図を整理していく。朝から雨で冷たい風が吹く。

 夜、六本木ヒルズにて東京フォトの内覧会に顔を出す。ギャラリー21のキュレーター太田菜穂子さんと挨拶。先日の内田先生/五十嵐太郎さんとのトークイベントについての感想などを伺う。また、半年ほど前から考案していた『Forest Among Us』もついに動き出すということで楽しみ。僕もこの三連休で土曜日の夕方と月曜日の昼に会場でトークイベントをするとのことで参加を約束する。色んな可能性を秘めたプロジェクトなので頑張りたい。

 深夜、再度U邸の立面図をスケッチ。開口部のアイデアをあれこれ整理する。何か新しい表現をみつけたい。

9月15日(水)
 窓を開けて寝てたら、ちょっと寒気がして風邪引きそうだったので午前中は休む。昼まで寝て復活。

 昼からU邸の平面修正をまとめてチェック。大きな問題はなく、電柱の問題と更衣室と外壁との関係、道場への入り方などがすっきりして良くなった。メールなどの雑務。先日のトークイベントのレビューや雑誌記事にまとめるお話を頂き、すぐに対応する。

 夕方、構造模型と新しい平面図を持って金箱構造設計事務所へ。早速打ち合わせ。大きな問題なく進めることが出来そう。また、トークイベントにも来てもらったので色々と感想を伺う。夜、茄子のカレーを食してU邸の展開図をスケッチ。

 深夜、友人夫妻に依頼された結婚式のウェルカムボードを描き始める。初めての試みだが、楽しく描くことが出来た。新しい挑戦は、気分も新鮮で描きながらアイデアが浮かんでどんどんペンが進む。

9月14日(火)
 午前中、メールなどの雑務。新しい案件の相談。これは面白いことになりそうなので、快く承諾。もろもろの整理を済ませて、U邸の平面図を修正する。週末の打ち合わせで生まれた新しいアイデアを早速チェックし、まとまる。

 午後もU邸の器具を整理してリストアップ。少しずつ密度が上がってきているので、このまま進めたい。夜、依頼された友人の会社のロゴをあれこれスケッチ。なかなか難しいけど、今月中にまとめたい。深夜、『移行期的混乱』を読み進めて、就寝。

9月13日(月)
 午前中、ゆっくりする。というより、激動の週末だったので、予定が入ってないので「オフ」ということで徹底的にゆっくりする。トークイベントの反響が多く、メールやツイッターで対応する。広がりのあることなので、しっかりと対応したい。黒崎さんより素敵なメールを頂き、身が引きしまる。

 午後、昨日の打ち合わせを整理して、今後の方向性を確認する。『建築が生まれるとき』(藤本壮介、王国社、2010)を読み終わる。藤本さんの思考が明確で篠原一男やルイス・カーンに対する論考を含め、氏のプリミティブなことに対する興味が読み取れて面白かった。とてもシンプルな言葉遣いに氏の建築との共通項を感じ、再度ワタリウム美術館の展示を覗きに行きたくなった。

 夜、ふらふらっと本屋に行って『移行期的混乱』(平川克美、筑摩書房、2010)を購入し、早速読み始める。内田先生との対談を読んで知ったが、単著は初めて。すごく新鮮で、柔らかい文体がお会いしたことないが、優しいお人柄が伝わって来る。答えのない問題に向き合う文章もまた大切な宿題をもらった気分になる。今日はゆっくり充電したので、また明日から頑張ろう。

9月12日(日)
 午前中、メールなどの雑務と事務所の掃除。午後、打ち合わせの準備。ホームページのnews「aosola/青空空間」の写真に交換する。夕方、代々木公園にあるPS社のショールームへ。内田樹先生夫妻と合流し、平山社長に案内してもらう。会社の経歴からシステムのコンセプトまですごく丁寧に話を聞かせてもらい、内田邸/道場における合理的なシステムの取り入れ方を話し合う。「放射」というキーワードを深く理解することで、環境に応じた自然対流を作り出すことの大切さを実感する。

 続けて、目黒の事務所に場所を移して設計の打ち合わせ。二時間弱、色々と話し合いながらもろもろの確認を進める。最後に次回打ち合わせを決定して、駅ませ送り、僕は(ご招待したかったが)一人でとんきのとんかつを食す。睡眠不足と不摂生も続き、ロースカツが胃にしみる。帰宅後、相変わらず沢山の反響があるも、早々に寝てしまう。実に濃厚な週末が終わる。

9月11日(土)
 午前中、長い一日の支度を済ませて、まずは原宿のNIDまで行ってDUNEの高橋社長にコーディネートしてもらい、ネーヴィーのシャツとズボンを購入。信頼する彼に今日という特別な一日のアウトフィットを任せて新調、すぐさま新宿NSビルへ。Aプロジェクトの大島さんと内野さん、五十嵐太郎さんとパスタを食べながら最後の打ち合わせ。全体の軸だけを確認する。

 午後、内田樹先生も到着し、シンポジウム『どこへ向かうの? 日本の「住まい」』がスタート。会場は、住宅を建てたいと思っている世代が多く、150人以上の観衆。早速、今、設計している内田邸/道場のコンセプトをプレゼンする。とにかくシンプルな言葉で分かりやすく端的に伝えることを試みる。多様性/断片の集合体/都市・山を感じる空間/「自我」のメタファーとしての建築ということを中心に発表。そこから内田先生のトークが始める。麻雀でビシバシ豪快に負けたのに(六年ぶりの麻雀だった)笑顔で、愚痴をこぼさなかったことが先生の直感に響いたらしく、角を曲がった最初の建築家であったことがすべての始まりだったことを、ものの見事に話しだして会場の雰囲気をつくる。そこからは、「住まう」ことについて五十嵐さんと多面的な切り口で話し合う。僕は「乾いたスポンジ」の感覚を持ってクライアントに接してそれぞれの建築をつくっていきたいという自分の建築家としてのスタンスについても述べることが出来た。会場からの質疑応答も沢山あって、あっという間の二時間のセッションが終了。NSビルの一階のレストランでプチ打ち上げに参加。そこでも、色々と面白い意見が飛び交う、実に示唆的な会話の連続だった。その後、来場してくださった僕の友人/知人から多くのメール、電話を頂き、皆さんの言葉よりこの催し物の成功を確信する。

 夕方、新宿から七里ケ浜へ移動。「aosola/青空空間」のオープニングパーティー。多くの友人、知人たちが駆けつけてくれて、すごく和やかな雰囲気でスペースのお披露目会となった。自由大学などを手がける黒崎さんも来て頂き、展示中の僕の銅版画をその場で即決して購入してもらった。最後にオーナーより、関係者スタッフの挨拶があり、皆でヨガのポーズをして締める。77日前には、何も構想も、場所もなかったことが、素晴らしいチームプレーの下、それぞれの熱意らしきものが相乗効果を生んだことは間違いない。七里ケ浜が盛り上がるきっかけになりたい。

 新宿のトークイベントと七里ケ浜のオープニング、両方に参加してくれたライターの長井さんと一緒に帰りながら、本日のイベントの雑誌掲載の可能性などについてあれこれ話しながら東京まで帰って来る。

 今日という本当に長い一日が終わる。溢れ出る達成感と充実感で寝られなくなる。実に多くの方々に出逢い、何か直感めいた関係性が生まれ、それがご縁となっていく。昼のイベントも夜のオープニングも、とにかく僕の周りに実に沢山の魅力的な人たちが集まってくることに心より感謝している。幸せをかみしめて、この気持ちを忘れずに精進したい。みなさん、本当にご来場ありがとうございました。今後とも宜しくお願いします。

9月10日(金)
 午前中、メールなどの雑務。内田樹先生の『ためらい倫理学』を再読。昼、U邸の図面チェック。午後、金箱構造設計事務所にて構造模型を受け取りにいく。早速、模型写真の撮影。スケッチのスキャンなども進めて、明日のイベントのプレゼンテーションを完成させる。また「aosola/青空空間」での展示のネームプレートなどの製作も進めていたらあっという間に深夜の三時を過ぎていた。明日は、大事な二つのイベントがあるので、思う存分やりきりたい、あ~、さすがに緊張して来た。

9月9日(木)
 午前中、メールなどの雑務と打ち合わせの準備を済ませて、七里ケ浜の現場へ。

 昼から「aosola/青空空間」の仕上げ工事。ピクチャーレールやカーテンレール、ライティングレールの設置、電気、スピーカーの天井裏配線工事。鉄の棚も奇麗に設置。学生たちには、デッキを作った「端材で外部ベンチをつくる」という課題を出し、三人で話し合っていきいきと製作していた。

 夕方、最後のライティングレール設置でついに完全完成。内外の空間が連続し、とても広く感じる。感無量。職人さんやオーナーさん、手伝ってくれた学生も含め、携わってくれた皆の思いらしき熱意がしっかりと空間に根付いていることを感じて胸が熱くなる。オープニング展示のために僕のドローイングや銅版画をセッティングし、まるでギャラリーのようになる。写真撮影を試みるももうすっかり暗くなってしまい、内観ショットをほどほどに事務所へ戻る。電車で睡眠不足を取り返す。しかし、本当に短時間でよくここまでできたと我ながら思う。舞台は整ったので、七里ケ浜にヨガ旋風を起こしてもらいたい!

 夜、メールなどの雑務ともろもろの整理と手配。トークイベントのシナリオを練る。

9月8日(水)
 朝から台風接近。すっかり白い雲で東京が覆われて、久しぶりの雨。昼間から事務所の電気を付けて作業。U邸の構造の打ち合わせのフィードバックを兼ねて北側の屋根の形態スタディー。スケッチを重ねるもまだピンと来ない。

 午後、トークイベントのプレゼンテーション資料を始める。京都、美山町の木こりの小林さんと電話で打ち合わせ。夕方、雨上がりの東京はすっかり秋めいており、その中を御徒町まで行って千代田アーツ3331へ。トータルディレクターの中村政人さんと約束し、『3331/アンデパンダン』に出展中のドローイングを見てもらい講評。11日の公開講評会に内田先生とのトークイベントが重なってしまった個人的な理由にも関わらず、一時間弱あれこれと話し込む。初対面とは思えない肌合いに、言葉の重みを感じる。アーティストのすべき自身のフィールドの定義/ぶれない軸足/社会に対するアートのあり方/イニシアティブをもつ必要性/建築家とアーティスト/ドローイングの元ネタ/新鮮さ自由さ/地域とアート/自由でボーダーレスな感覚と強度について示唆に富んだものが多く興奮した。雨の中来て良かった。またぜひ何かご一緒したいと直感した。そのためにも頑張ろう。

 夜、『月見草』にて二枚目を購入してくれた銅版画の設置箇所などをオーナーやシェフの方々と話し合う。作品群が展示されている場所の空間を呼吸していくのが感じられる。

9月7日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昼、87時間ぶりに胃に水以外のものを入れる。絞り立ての緑黄色野菜ジュース。ゆっくり味わい、瞬時に元気になる。体内に栄養素がしみ込んでいく様を実感する。友人にお裾分けしてもらった茄子とまいたけ、しめじのお粥と有機野菜のトマトの入ったグリーンサラダを食す。

 午後、U邸の図面を細かくチェックして今後の進め方を考える。週末のトークイベントのシナリオを考える。参加者に設計のコンセプトを端的に分かってもらえるようにスライドを組み立てたい。ついついエンジンがかかってしゃべり過ぎないようにせねば。内観パースの検討、簡単な3Dを立ち上げてもらい、スケッチを重ねる。

 夜も内観パースをゆっくりと進めてのんびり過ごす。断食も終え、夜は少し過ごしやすくなったので目黒川沿いを軽くランニング。体がびっくりするから一周で切り上げるも気持ちいい汗をかく。さて、二年連続で抽選漏している東京マラソン、来年こそは走りたい。

9月6日(月)
 断食三日目。水しか飲んでないので体も完全に省エネ体制に入り、体力なくすぐに疲れてしまう。しかし、デトックスも進み、食べることの有り難みが生まれるのも再発見。昨日預かったスペイン・ドローイングを七里ケ浜の現場まで持っていく。
現場で外部手スリを塗装し、デッキの製作指示をする。ジグザグの鉄板に対して、大工さんが丁寧に作業を進める。室内の方では、珪藻土クロスをしっかりとオープンタイムを取って手際良く貼っていく。空間が白く立ち上がっていく。昼前には、また江の電に乗って事務所にトンボ帰り。しかし、これにて「aosola/青空空間」がいよいよ完成し、ワクワク、ソワソワする。

 午後、大きなドローイング2作品を千代田アーツ3331にて搬入/設置する。Aエリアに壁を与えられ、早速展示してまた事務所にトンボ帰り。明後日から『3331/アンデパンダン』という展示が始まるので、ぜひお近くまでお越しの際は見てみてください。廃校をギャラリー/カフェ/貸しオフィスにした魅力的なスペースです。

 夕方、金箱構造設計事務所にてU邸の打ち合わせ。1/50の模型を持参したので、今回製作してもらった1/50の構造模型と一緒に照らし合わせながらの打ち合わせ。屋根や床のポイントを話し合う。大きな問題なく進んでいる。

 夜は事務所に戻ってメールなどの雑務、デスクワークをもろもろ進める。断食も三日が過ぎ、明日には野菜ジュースからゆっくり食べ始めたい。深夜、『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル、早川書房、2010)を読み始める。夜はいささか風が吹き、クーラーもなく過ごせるようになった。

9月5日(日)
 断食二日目に突入。流石に体も慣れて来たのか、思ったほどの空腹感もなく水だけを相変わらずガブガブ。午前中、ゆっくり読書。しかし、うだる様な暑さでクーラーは付けっぱなし。

 昼、友人宅にて昨年、依頼してもらったドローイングを今回「aosola/青空空間」で展示させてもらうために借りに行く。実に快く貸してくれて、近況報告。午後、同じく展示のための銅版画の着色作業を進めて完成するも、納得のいく出来にならなかったのでアウト。夕方、気分転換に半身浴で汗をかく。デトックス効果なのか異常に舌の感覚が敏感になって水の味が深く感じる。

 夜、『ベンジャミン・バトン』(監督:デヴィット・フィンチャー、2009)のDVDを観る。とても明快なフィッツジェラルドの物語を丹念に映像化した良作。だがいささか単調に感じるシーンもありウトウトしてしまう。

 深夜、明日の現場の準備をして、U邸の図面チェック。空腹感も増し、早めに就寝。断食も後一日。

9月4日(土)
 今日から断食を決行。朝から水だけを飲んで三日間を過ごす。一年ぶりの五度目くらいの断食なので、慣れたもの、デトックス、デトックス。午前中、メールなどの雑務。もろもろの電話対応。

 午後、U邸の図面をチェック。配置図などのレイアウトを整理する。構造図も一緒にしっかり目を通す。天井伏図のアイデアを練る。

 夜、「aosola/青空空間」の展覧会について考える。額装する作品選びとコンセプトをまとめる。銅版画も三作品見せることにする。深夜『アメリカ大都会の死と生』(ジェイン・ジェイコブス、鹿島出版会、2010)を読み進める。

9月3日(金)
 六時起きで電車に乗って七里ケ浜の「aosola/青空空間」の現場へ。河野工場長が鉄部材を持って登場。桑沢の学生たちも壁の塗装ヘルプに来てくれる。門型フレームがすぐに土台にアンカーで止められて、あれよあれよでキャノピーが立ち上がる。もともとあった木製のフレームと同じ大きさだが真ん中の柱もなくなり、圧倒的に軽くなり開放された。続けて、基礎止めをフラットバーで溶接して設置していく。こちらも二日前に工場で見たときから見違えるように錆びが出て、しっかりとコルテン鋼としての強度を確保している。歩道の仕上げとの表情の対比が想像以上でとても力強い印象。

 午前中は、裏方スペースの壁を学生たちと一緒になって白く塗装する。下塗りをした後に、本塗りですっかり真っ白な空間に変わる。気がつけばズボンもシャツも白くなってしまった。学生たちも汗だくになりながらよく頑張ってくれた。大工さんは室内の壁を仕上げて、河野さんはキャノピーにポリカーボネートの屋根をかけ、外階段のコンクリートを打つ。夕方、陽が沈みかけた頃に完成。いよいよ完全完成も近くなって来たので興奮する。しばし、建物の前でここ二ヶ月間の動きを思い返す。気を抜かずに最後までやりきりたい。11日のオープニングは、ギャラリーとしてのスタートでもあるので、ドローイングと銅版画を中心にしっかり準備したい。

 帰りの電車は爆睡。事務所に戻って、すぐに銅版画を持って『月見草』へ。オーナーが不在で本人には渡せなかったが、二枚目の銅版画を購入してもらったので納品。そのまま友人とワインを飲みながら近況報告。彼が来月から香港で働くので、自身で起業したい旨を再度話し合い、その会社のロゴ・デザインを依頼される。深夜まで熱く語りあう。これまた楽しみな展開である。

9月2日(木)
 朝、自転車で青山一丁目まで。L&Cdesignにて安田さんと打ち合わせ。養老高田祭り以来の再会で近況も含め、諸々の相談。昼前、続けてiCベルリンの東京事務所へ。今デザインさせてもらっている眼鏡のデザインについて話し合い、持ってる眼鏡のテンプルなどを交換してもらう。ラルフ社長も近く来日するとのことで、タイミングが合えば会いたい旨を伝える。

 昼、何も食べずにタクシーに飛び乗って新宿NSビルへ。ミサワホームにてAプロジェクトの責任者である大島さんや編集者の内野さんと打ち合わせ。11日のトークイベントについて全体の方向性とイベントの流れの確認作業。せっかくの機会なので有意義な時間にしたい。

 午後、新宿から京王線に乗って橋本へ。むくどり保育園の朝比奈理事長と合流し、第二保育園を見学させてもらう。とにかく元気な子供たちが印象的。建物は僕の生まれた昭和54年に完成したとのことで、モンテッソーリの教育理念について理事長より丁寧に教えてもらいながら「子供たちの空間」について話し合う。また、一階の保育室がPS放射冷暖房を取り入れていて、他の空調で冷やされた部屋とは決定的な快適さの違いを作り出していた。つまり、空気の質が室温/湿度の観点から圧倒的に快適であった。ぜひともU邸でも導入したい。道を挟んで計画中の分園についても伺う。その後、朝比奈ご夫妻と食事。あれこれとコンセプトやアイデアについて話し合う。

 夜、電車で青山一丁目まで戻り、自転車で事務所まで戻る。深夜、メールなどの雑務もほどほどに明日の「aosola/青空空間」の現場の準備をして就寝。それにしても朝から出ずっぱりの長い一日が終わる。大事な四本の打ちあわせも無事終了し一安心。

9月1日(水)
 すっかり寝てしまい、河野さん宅の無垢の杉板の気持ちいいリビングで目を覚ます。朝の埼京線は、これはこれは大変な満員電車。午前中、メールなどの雑務。「aosola/青空空間」のサイトスタッフ・ブログに昨日の工場での作業を写真付きでドキュメントする。

 午後、新しい案件などのフィードバックと明日以降のスケジュールを整理する。七里ケ浜の現場ともあれこれやりとりをする。夕方、U邸の展開図をスケッチしたりして過ごす。夜は、U邸の書籍化についてブレストをする。

 今日からもう9月。そろそろまたランニングを習慣化するためにも三日間の断食をしてデトックスしようかな。今、昨年のeverydaynotesを確認したら昨年の9月にも三日間の断食をしていた。これも長い意味でのルーティーンか。

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