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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2011 august

8月31日(水)
 午前中、汗をかきながらSDレビュー入選展のための模型ボックスをつくる。1/30模型なのですごい大きな箱になったが、しっかりと構造用合板で作り上げる。

 午後、凱風館の打ち合わせの準備。それから大阪でのオフィス内装のための資料を準備。あれこれとしっかり進める。夕方、渋谷スペイン坂スタジオへ。TOKYO FMラジオ、シンクロノシティーに渕上代表と出演。初めてのラジオ体験。会場構成をやらせてもらったROSESの宣伝大使として、ボランティアやプロボノについて話す。MCの堀内さんやMIOさんにも助けられ、大変貴重な楽しい経験をさせてもらった。無温室での収録が何とも不思議な体験でもあった。

 夜、下北沢にてアルテスパブリッシング社へ。鈴木さんと新潮社の足立女史と本づくりについて作戦会議。あれこれと話し合いながら、大いに盛り上がる。

 深夜、出張の準備を進めて、早々と寝てしまう。

8月30日(火)
 朝の7時半から表参道ヒルズ、スタッフエントランスの前で6人の学生有志と合流してからっぽの会場、スペース・オーに入る。まずは、テープでマーキングして位置を確認。天井から吊るす布の設置と岐阜県加子母村からの檜パネルの搬入。80枚、檜の香りがしっかり残る24ミリの合板。これは、石巻の合板工場の技術指導のもと、加子母村にできた合板工場の売り出し新商品。今回は、中島社長が東北支援に賛同してもらい、なんと無償提供して頂きました。昼、パネルの設置と布の吊るしを完了。あれこれその場で工夫しながらのブリコラージュが続く。夕方からアーティストの方々の作品を展示。またイタリアのおもちゃ、ロディー80体の展示。これは芸能人など著名人にカスタマイズされたもので、すべてが購入可能です。打ち上げはすべて東北に贈ります。配置計画や照明などもその場で臨機応変に対応しながら空間をつくっていく。造園家の野口晋平くんにもフラワーアイランドをつくってもらい、素晴らしいインスタレーションになりました。気仙沼の震災写真も半田也寸志さんによる大きな写真が2点ステージ前に飾られています。昼飯の30分以外は、べったり会場にいて15時間後の10時半に無事完成。感無量。やっぱり、建築も会場構成も「現場」が一番魅力的。時間と予算の限られた中、みなの協力があり、本当にいいものになりました。明日から日曜日までの会期中も大いに盛り上がって、たくさんの人たちに来てもらいたいと心より願っています。手伝ってくれた学生を始め、関係者のみなさま、不眠不休の中、本当にお疲れさまでした。

 へとへとになって、(スペース・オーは、地下3階)地上に出たら真っ暗で雨。びしょびしょに濡れながら原宿駅まで歩き、帰宅。メールなどの雑務。たまっていた多くのメールの中から「ほぼ日」連載のファンレターが入っていて嬉しくなる。こうした感想をもらえると、毎週の連載は大変だけど、頑張れる。いつもありがとうございます。

8月29日(月)
 午前中、メールなどの雑務と電話対応に追われる。依頼していたフレームも届き、先日買った谷口るりこさんの絵画もばっちり納まって、事務所の壁に飾る。

 昼、凱風館の展開図の確認と修正。外構についてあれこれスケッチ。淡路島の瓦がどうなるか今から楽しみ。SDレビューのためのプレゼンテーションと模型もどんどん進める。これは、手を抜かずにしっかりと発表したい。見てもらうのに値するものをつくりたい。大阪での事務所の内装の資料として家具レイアウトなどあれこれ考えてスケッチ。

 夜、ロンドンより一時帰国中の元インターンスタッフが来所。彼女が僕の事務所にヘルプで来てくれた最初のスタッフ。ちょうど桑沢デザインでの旅の講義を準備中で、僕の旅の写真1000枚以上を丹念にスキャンしてくれたりしてくれた。おかげさまで今、こうしてレクチャーすることができている。

 深夜、明日のROSESの会場設営の準備や展示パネルを完成させて出力し、パネルに張り合わせる。明日の準備がうまくいくか心配でなかなか寝付けなかった。遠足前の小学生の気分。

8月28日(日)
 午前中、メールなどの雑務。昼、東京都現代美術館にて名和晃平「シンセシス」展の最終日に滑り込み。迫力満点の作品群が圧倒的完成度で視るものを魅了する。展示の密度も高い。造形の地平線を拡大すべく、色んな試行錯誤が見られるも、どこかデジタルなクールさがつきまとい「手あか」が見えないために深く突き刺さってこなかった。

 渋谷で所用を済ませて、本屋で買った本『日本人は何を捨ててきたのか』(鶴見俊輔・関川夏央、筑摩書房、2011)を早速読み始める。夕方、事務所を掃除しながらデスクワーク。ROSESの会場構成についてあれこれ微調整。いよいよ来週に迫ってきた。サイトはこちら。初日の31日水曜日にはTOKYO FMラジオにて出演し、会場構成やプロボノについて話して宣伝大使を勤め、日曜日の13時からはトークイベントにも参加予定。

 夜、ボルトが世界陸上の100m決勝でまさかのフライングを見て、目黒川沿いをLSD(ロング・スロー・ディスタンス)。やっと一時間ちょっと走れる身体になってきた。大阪マラソンまであと2ヶ月。しっかり練習したい。深夜、これからの動きについて準備を進め、ベンヤミンを読書しながら就寝。

8月27日(土)
 午前中メールなどの雑務と電話対応。ROSESの会場構成の修正と最終調整。午後、桑沢の学生たちが7人ほど来所。凱風館をはじめ、学生たちに仕事を紹介し、あれこれ話す。何かしらの刺激に感じてもらえれば何より。ホームページのアーカイビング作業とNEWS
をアップデード。

 午後、F歯科医院の資料を進めて完了。夜、クライアントである幼なじみの歯医者さんが来所。みっちり設計の打ち合わせ。細かい使い方も含めて話を伺い、やっとこプロジェクトとしてスタートラインに立ちそうな感触。年末には本格的に動かせられるように約束する。

 深夜、「ほぼ日」の原稿をちょこっと進める。今日が土曜日であることを完全に忘れていた。明日は日曜日らしい日曜日を過ごしたい。

8月26日(金)
 午前中、弟と一緒にお盆より少し遅れて祖父のお墓参り。昼から表参道ヒルズで打ち合わせを2本。ROSESの会場構成における施工法/準備の段取り/避難経路などの打ち合わせをみっちりチェック。終わって外に出たら東京は大雨。

 夕方、赤坂のKLEE事務所にてGALLERY21のチーフキュレーター太田菜穂子さんと打ち合わせ。写真について話し合い、おもしろいプロジェクトに対する打診を承諾する。頑張ろう。

 夜、事務所にてメールなどの雑務。これからの動きについてあれこれ考える。またROSESの会場構成における調整メールと電話が続く。マラソンでいうとやっと30キロ地点といったところか。

8月25日(木)
 午前中、メールなどの雑務。昼、「ほぼ日」の原稿を再度チェックして送信。ROSESの会場構成についてあれこれ対応。電話も対応。いろいろと新しい展開があって頑張りたい。

 午後、桑沢の学生たちが事務所見学に来所。凱風館の1/30も進めていく。夕方、表参道でROSESの打ち合わせ。夜、大学時代の友人で編集者の富井雄太郎氏と会って食事。僕がベルリンより帰国してからもちょくちょく出くわしていたが、ゆっくり会って話したのはかれこれ10年ぶりくらい。お互いの近況報告もほどほどに本づくりや建築について話し合う。富井は昨年独立し、『アーキテクチャとクラウド』(millegraph、2010)という立派な本をつくった。同じ釜のメシを食った同級生なので肌合いがよく、面白い話がたくさん聞けて大いに刺激をもらった。彼とは1年生の時に初めて一緒に建築を観に行ったりしたのを思い出す。

 深夜、ROSESの打ち合わせのフィードバックなどを済ませて、明日の準備もほどほどに寝る。8月も残りわずか。

8月24日(水)
 午前中、メールなどの雑務。ROSESの会場構成の修正とチェックを進めて、模型を最終版に近づける。昼、SDレビューのプレゼンの準備をあれこれ考える。F歯科医院についてもスケッチするもまだ突破口がみつからない。学生インターンの課題エスキース。まだ一年生なので、頭の中でしっかり空間認識ができていないが、抽象的なことと具体的なことを同時に考えようとする努力はみえるのであれこれアドバイス。まずは歴史をもう少し知らないと素養がなさすぎる。意識を高くもって、建築を好きになってもらいたい。

 午後、羽鳥書店の羽鳥社長と編集者の伊藤女史が来所。コンフォルトに書いた池田学の展覧会のレビューをきっかけに、僕のことを知り、ドローイング集を出さないかと打診して頂く。いやはや嬉しいオファーに即答で承諾。僕の原点である旅のスケッチから2008年にベルリンでやった個展以来描き進めている幻想都市風景のドローイング郡や銅版画を見て頂く。建築好きのアーティストとかではなく、建築を設計するのと同じように建築家としてドローイングを描いているということを伝える。アーキグラムや日本のアニメーションなどからの影響や本づくりについて意見交換。とても初対面とは思えない盛り上がりにあっという間に時計の短針は3周していた。来年の出版を目指してこれから打ち合わせをしていくことを約束する。実にワクワクする。昔から自分のドローイングで作品集を作ってみたいと夢見ていたが、こんな素敵な出版社から声をかけて頂き感無量。アルテスパブリッシングの鈴木社長や新潮社の方々、ほぼ日の乗組員さんたちを始め、本当に魅力的な本づくりをされる人たちと一緒に仕事ができて僕は感謝の気持ちでいっぱいだ。期待に応えられるようにしっかりと精進していきたい。

 夜は、何だか嬉しい気持ちですっかりもぬけの殻状態が続く。阪神巨人戦をTV観戦。アニキ金本のホームランで阪神勝利。深夜、目黒川沿いをランニングして、たっぷり汗をかく。『アーキテクチャとクラウド』をパラパラ再読する。今日みたいな日があるから頑張れる。昨年から続くジェットコースターライドはまだまだ続きそうだ。シートベルトを締めて、ギアアップ。

8月23日(火)
 午前中、メールなどの雑務ともろもろの電話対応。SDレビュー入選展のために模型を進めていく。細かく作り込んでいくと、模型にもしっかりと空間が立ち上がることを実感。

 午後、ROSESの対応と平面修正。来週からはじまるイベントだが、最後まで流動的な部分も含めてしっかりと対応したい。凱風館の現場レポートと先週の打ち合わせの議事録を完成させて送信。F歯科医院のエスキースを進める。週末の打ち合わせの準備をスタート。

 夜、ほぼ日の原稿をリライト。頭の中で流れを整理して書き換えていく作業は大変だが、元の文章とはガラッと印象が変わった。深夜、目黒川沿いをランニング。あれこれとデスクワークが続く。

8月22日(月)
 午前中、メールなどの雑務とフレーム屋さんと打ち合わせ。ROSESに出展する版画のフレームなどの発注をする。

 午後、東京国立近代美術館にて『イケムラレイコ うつりゆくもの』展の特別内覧会に参加。とてもずっしりとした、時間の積層した印象をもつ作品群が並ぶ。塗り重ねられたキャンバスと手の痕跡が残る土の彫刻群。ガラスケースに並ぶ現代アートに時間を超える強度を感じた。つまり、コンテポラリーでありつつも、どこか無時間というか、大昔の埴輪のような佇まいをもっていて、いつまでも見入ってしまう。単純な造形美でもなく、それを崩したスタイルというわけでもなく、絶妙なバランスを保ちながら、いろんなものが同居した不思議な世界観が一貫して流れていた。それこそがイケムラさんが「うつりゆくもの」として捉えようとして追いかけ続けている何かではないだろうか。パートナーで建築家のフィリップ・フォン・マット氏による会場構成も実に明快で、壁の色と作品の配置、シークエンスを丁寧に演出した素敵なものであった(タイトルも黒でなく、よく見ると紫である辺りも秀逸)。ベルリンで働いていたザウアブルッフ・ハットンのボス夫妻がイケムラさんとご近所で交友が深く、来日できないため「元所員」のピンチヒッターとして招待されたが、実に素敵な体験になった。ご本人ともお話しすることができて、作品を完成させるのに同時進行で時間がすごくかかるということを言われていた。明日から10月23日までですので、ぜひ足を運んでみてください、お勧めの展覧会です。

 夕方、原宿のNIDで高橋社長と雑談。もうかれこれ二年前に内装設計したアパレルショップも順調で、綺麗に使われていた。近況報告をし、また一緒に仕事をするやもしれない展開を伺う。続けて、メイドイントウキョウ事務所へ行って、北村さんとROSESの什器について打ち合わせ。快く家具を貸して頂く方向で進めていく。夜、凱風館の打ち合わせ資料を進める。

 深夜、目黒川沿いをランニング。SDレビューの展示の準備をあれこれ考えて、レイアウト図などの検討を進める。あっという間にまた一日が過ぎていった。

8月21日(日)
 午前中、凱風館の現場レポートなどの資料を作り始める。諸々の資料をまとめていく。昼過ぎ、目黒川沿いをゆっくりロングラン。涼しくて走り易かったが、思った程長い時間走ることができなかった。

 夕方、七里ケ浜の夏祭りへ。ヨガスタジオ「青空空間」のメンバーが出してるかき氷屋さんを手伝う。雨が降る悪天候にも関わらず、子どもたちが笑顔でかき氷を食べてて、地域との楽しい交流の時間。

 夜、メールなどの雑務とROSESの展示資料をアップデート。深夜『空中庭園』(監督:豊田利晃、2005)のDVDを見る。不思議な映画。高級団地を舞台に「隠しごとをしない」というルールを設けた家族の話。解体され、崩壊し(した)つつある家族像に対する問いかけ。小泉今日子の演技は秀逸。

8月20日(土)
 午前中、ゆっくり寝る。生憎の天気。昼、三宮にて山本画伯らと合流し、額屋さんを探して散策。元町の素敵な古本屋さんにも行く。そして、先日買った谷口るりこさんの絵画にぴったりなフレームを購入。

 夕方、天王寺にあるご友人宅にてみんなでBBQ。天気は相変わらずイマイチで降ったり止んだりの中、綺麗な屋上でわいわい楽しくお肉を食す。実に美味で、鮎などと共にたっぷり頂く。新幹線の時間があり、画伯特製ドルチェをほうばってお先に失礼する。車中、打ち合わせの議事録を作成したり、寝たりの繰り返し。

 深夜、メールなどの雑務を済ませてから目黒川沿いをランニング。BBQでしっかり重くなった身体をほぐすように走る。2ヶ月ちょっとに迫った大阪マラソンに照準を絞ってトレーニングのギアアップをしたい。

8月19日(金)
 午前中、メールなどの雑務。凱風館の現場へ。内田先生夫妻と設計の打ち合わせ。書生部屋やお風呂ことから家具のことまであれこれみっちり話し合う。竣工までエンジン全開でしっかり進めたい。

 午後、現場で現場監督の加藤さんと打ち合わせしながら、現場をチェック。今後の打ち合わせ項目についても話し合う。夕方、淀屋橋にて『東日本大震災 避難所からの<声>を聴く』にて前石巻市総合福祉会館長・元石巻市立養護学校長の阿部慶吾氏の話を伺う。コーディネーターは、大阪大学院医学系研究科助教の佐藤友亮さん。枕は佐藤さんによる石巻での医療支援活動でのお話(詳しくはこちら『命の境界線』でどうぞ)。そして、阿部さんの「いつもは綺麗な海が黒い魔物になった」という3月11日当日の話からはじまり、5ヶ月後の今の実際の声が聞けるとっても貴重な機会であった。地震と津波の時差を認識しているということ。瞬時に避難する場所を変更した決断や1400人もの被災者との共同生活における「高齢者の知恵」や「分け与えることの大切さ」から秩序ある避難所のあり方について語られる。謙虚ということではなく、阿部さんの真摯なお言葉が、ご本人の顔が見える言葉として心の深いところに訴えかけてくる。全国のみなさんに石巻は元気をもらい助けてもらったのでこうして話すことで恩返しをしたい、という言葉が印象に残る。

 深夜、打ち合わせのおさらいをし、あれこれメールなどの雑務。『新・ムラ論TOKYO』を読み進める。

8月18日(木)
 朝の新幹線で神戸へ向かう。湯川女史の呼びかけで楽しい中華ランチ。午後、凱風館の現場にてガラス工事のチェック。階段室の大ガラスとテラスのガラス屋根がばっちり設置されていた。内部も天井が仕上がり、開口部の枠が順次設置されていく。書生部屋や家具、工程についてあれこれ打ち合わせ。

 夕方、山本画伯の武庫之荘のアトリエにて額の相談。SDレビューの展示のためのフレームを貸して頂けることになった。また、製作中の作品も見せて頂き、老松の話から絵画について贅沢なミニレクチャーを受ける。

 夜、打ち合わせのおさらいと明日の準備。『新・ムラ論TOKYO』(隈研吾/清野由美、集英社新書、2011)を読み進める。

8月17日(水)
 午前中、メールなどの雑務と電話対応。凱風館の1/30模型を久方ぶりに進める。来月の代官山でのSDレビューの展示に向けてどんどん仕上げていく。フレームの調達をしたいのだが、三日連続で連絡がつかない。まだ盆休みということか、やれやれ。

 午後、凱風館の工程についてあれこれチェック。外部の仕上げ工事がいよいよ始まる。ROSESの会場構成をブラッシュアップ。やっと見えてきて、複雑さも出てきたように感じる。各種関係者との対応に追われる。感覚として、何か忘れているのではないかという気持ちがつきまとうも、どうにか回っているようだ。

 深夜「ほぼ日」原稿を進めて、推敲を終え送信。出張の準備をして、事務所の掃除も程々に寝る。

8月16日(火)
 午前中、表参道でチャリティーイベントROSESの打ち合わせ。会場構成のコンテンツについてあれこれブラッシュアップ。続けて表参道ヒルズにて、テクニカルな打ち合わせ。来週までに最終系にまとめあげることを約束する。

 午後、凱風館の内観について修正を進める。キッチンタイルのバリエーションも面白いものが出てくる。SDレビューの展示についても考える。F歯科医院の設計に赤を入れる。こちらの方もギアアップしていかないと。

 深夜、「ほぼ日」の推敲をちょこっと進めてスケッチを完成させる。それから目黒川沿いをランニング。スピードに意識を置いてのトレーニング。寝る前にマンチェスター・ユナイテッドのプレミア開幕戦を見る。メンバーがかなり若返っていたのに、弱くないのがファーガソン監督の手腕。ベンチにパクチソンとギグスらがいて豪華すぎるサブにもびっくり。

8月15日(月)
 終戦(敗戦)記念日。66年前に戦争が終わった。忘れてはならない多くの物語がそこにはあったのだろう。午前中、SDレビューの展示のためのプレゼンボードを作り始める。集中して写真をレイアウトし、50枚の写真をまとめ上げる。

 昼、ホームページのアーカイビング作業。凱風館の外構についてあれこれスケッチで検討。内部の家具やキッチンのタイルレイアウトについても検討を始める。夕方、メールなどの雑務を済ませて、学生インターンのエスキースをチェック。

 夜、『コクリコ坂から』(監督:宮崎吾郎、2011)を見る。宮崎駿氏が築き上げてきたジブリの世界観はいつもイマジネーションの世界をその原動力とし、アニメーションにしかできない独特な世界観を獲得したことだとすると、息子の宮崎吾郎氏は(ジェネレーションギャップということもできるのかもしれないが)そうした父の武器を意図するしないに関わらず封印し、徹底したリアリズムとテンポを大事に作品づくりをしているようだ。今作も淡々と当時の目線で60年代を描くことで見える違った豊かさをみつけようとしたのではないだろうか。肉食なパパに対して草食な息子と言ったところか。でも、一昔前に沢山作られた「あの頃は良かったね」的なべっとりノスタルジックな映画とは一線を介して不思議な優しい空気が流れていたことはたしか。

 深夜、目黒川沿いをランニング。しかし、まだまだ納得のいく走りができん。その後、「ほぼ日」の連載用にスケッチを進める。楽しくて没頭するも完成はしなかった。

8月14日(日)
 午前中、メールなどの雑務。凱風館の展開図や家具のチェックを進める。昼、ROSESの展示について考える。全体のレイアウトとコンテンツについて整理する。布の使い方を工夫して、プレゼン資料をまとめる。

 夜、編集者の友人たちと美味しいシェリーを飲みながらの近況報告や装幀の話で盛り上がる。異分野で働く人たちとのこうした時間はいろんなアンテナを知ることができ、刺激になる。ボーダーレスな活動ができるように、日々精進したい。情熱大陸を見るまでは、今日が日曜日であったことを忘れる。深夜、パラパラと読書して寝る。

8月13日(土)
 午前中、メールなどの雑務と電話対応。スケジュール調整とデスクワーク。昼、ROSESの展示のあれこれを模型で検討。布の使い方について。午後、SDレビュー入選展のためのレイアウトや展示についてエスキース。搬入のための箱なども考えねば。凱風館の展開図を整理し、家具のデザインを進める。イメージをスケッチをするも、納得のいく突破口をみつからず。まだまだ。

 深夜、「ほぼ日」の原稿を書き進める。BGMは、キース・ジャレット。

8月12日(金)
 午前中、メールなどの雑務と昨日の打ち合わせの議事録作成。昼過ぎもあれこれと連絡を取りながらの作業が続く。一段落したら京都まで行って、新幹線で帰京。車中、本も読まずに、寝ることもせず、終始外を眺めていた。すると日本の国がどれだけ美しい自然があり、都市がいかようにして自然と相互に関係しているかが少し分かった気がする。やはり、稲穂が圧倒的に美しい。複雑で多様な緑色がそこにはあった。送電線や工場群の見え方もまたどこか不思議だった。

 夜、中目黒で打ち合わせ一本。それから事務所で仕事。デスクワーク。昨日の現場写真を整理し、レポートを作成。深夜、目黒川沿いを軽くランニング。汗だくになってすぐにばてた。その後、「ほぼ日」の原稿を書き進める。月が綺麗だったが、きっと満月ではなかったな(左側が少し欠けていたように見えた)。

8月11日(木)
 午前中、凱風館へ。車中『われ日本海のはしとならん』(加藤嘉一、ダイヤモンド社、2011)を読み終える。ステレオタイプでしか理解していなかった中国に対するイメージを新しくしてもらった。加藤氏の自伝的ストーリーを通して中国と日本の狭間で自分にしかできないものをみつけていくエネルギーをひしひしと感じる文章に強いシンパシーを感じる。「暇人」やインターネット、人口に対する感覚など大変興味をもった。

 現場で工事の工程について打ち合わせ。昼、内田先生夫妻が現場に来て、和室について、防音対策について、PSなどについて打ち合わせをする。その後もあれこれ現場の進行状況について話し合う。夕方、御影ダンケで『新・ムラ論TOKYO』(隈研吾/清野由美、集英社新書、2011)を読み始める。

 夜、内田先生と一緒に梅田にて「ゆくるの会」に参加し、愉快な仲間と食事を楽しむ。初対面の方々が多かったが、ツイッターを通してお互いのことを知っていたりして、旧友のような盛り上がり。しかし、こうした共同体のメンバーになれることに皆が喜びを感じていることを実感し、大変楽しい。

 深夜、たまったメールなどの雑務。その後ちょこっとだけ近所をランニングし、風呂に入って寝る。今回も充実した出張となった。明日、帰京。

8月10日(水)
 午前中、メールなどの雑務。昼すぎ、電車で凱風館へ。車中、ツイッターで「旅」について思いついたことをつぶやいてみた。これはいい頭の体操かもしれない。現場では、屋根の工事が最終段階に入っていた。この猛暑の中、大変よくまとめてもらっている。黒い屋根が姿を現す。500のペットボトルを2本飲みながら、現場監督の加藤さんと3時間みっちり打ち合わせ。

 夕方、実家に帰って、帰省中の甥っ子と姪っ子で賑わう実家で日韓戦を観る。香川と本田の活躍で3-0の快勝。キックオフしてすぐは韓国にリズムを作られたものの、しっかりとプレスをして球を回し始めると自信を持って選手たちがプレーし、いきいきしたサッカーを展開。若い選手も起用し、層の厚さもみせつけた。これはこれからが楽しみ。天国で松田直樹選手もきっと笑顔だろう。

 夜、「ほぼ日」の原稿をチェックバックして送信。また今月/来月のスケジュール調整を進める。ROSESの会場構成もやることいっぱい。深夜、半時間ほど母校までランニング。新しいコースを開拓し、気持ちのいい汗をかく。

8月9日(火)
 朝起きて、新幹線に乗り込む。車中、『われ日本海のはしとならん』(加藤嘉一、ダイヤモンド社、2011)を読み始める。加藤氏の国際感覚やバイタリティー、感性に共感するところが多い。僕はアメリカ生まれで欧州で働いたが、中国独特なこともあるが、外国で感じたことに置いては類似することが大きい。

 昼、凱風館の現場に到着。久しぶりの現場を一通り回ってチェック。道場の細かい工事が進み、更衣室たちも仕上がり始めた。階段も完成し、書生部屋も姿が見えてきた。屋根のガルバリウム鋼板が綺麗に葺かれていく。暑い中、丁寧な仕事をしてくれている。

 夕方、山本画伯と内田先生が現場に来られて、道場の畳の打ち合わせ。琉球本畳を使用することになった。キャンバス地と考えていたので、またぴりっとした空気が道場に漂うことになるだろう。楽しみ。それから山本画伯夫妻と一緒に北新地にある番画廊へ。画伯の専属カメラマンでもあり、絵描きを目指す谷口るりこ氏の初個展『縷々』を観に行く。大変独特な世界観を具象と抽象の間で模索しながらみつけようとしている意欲的な作品。水彩画だが、白の地と絵の具の図が実に絶妙なバランスで紙の上を動いているよう。一目惚れした作品を購入。その後、作家の谷口さんを交えて4人で食事。山本画伯の加子母村での「老松」制作の話や谷口さんの絵画について、芸術/死/作家/音楽などについて大いに盛り上がる。

 深夜、帰宅しメールなどの雑務。「ほぼ日」の原稿を再度チェックしてまた寝かせる。読書もほどほどに就寝。

8月8日(月)
 午前中、メールなどの雑務。ROSESの会場構成スケッチを進める。昼、凱風館の打ち合わせ準備と現場レポートをまとめる。午後、F歯科医院のエスキースを進めて、プレゼンを進める。夕方、外苑前にてテキスタイルの打ち合わせ。ROSESの会場構成も多くのみなさんの好意で面白いものが出来そうだ。

 夜、ドイツでのシンポジウムのサマリーをまとめて送信。凱風館の打ち合わせ項目を整理し、追加工事などの工程をチェック。深夜、目黒川沿いをランニング。半時間ほどゆっくり汗をかく。それから出張の準備をして、寝る。今日が月曜日だった感覚が全くない、新しい週の始まり。

8月7日(日)
 午前中ゆっくり寝る。暑い夏の日。洗濯をする。昼すぎ、経堂に出かけて石山修武先生の企画する世田谷式学校の第4回レクチャーを聴きに行く。講師は難波先生と山田脩二さん。共に大変お世話になっているお二人のこうしたカップリングは絶妙。会の主旨を石山さんが皮肉たっぷりに紹介。難波先生を唯物論者として紹介したのに対して、山田脩二さんを唯酒論者として紹介。難波先生は『映画の中の市民』と題して10本の映画を取り上げながら、戦後日本の家族像の変換を捉えながら家族の城としての住宅について、自作「箱の家」シリーズと建築の4層構造について話された。小津から始まったレクチャーはタルコフスキーで着地。建築と映画の決定的違いはやはり事件をアートに寄って描き得る映画に対して、建築は幻想と寄り添うデザインの近くに存在する。後半の山田脩二さん『印画紙を焼く、炭焼く、瓦を焼く』と題して60年代の東京の写真から日本村シリーズを展開。途中エンジンもかかってきて、ギャクも炸裂状態に。その後ちょこっと懇親会にも参加。とても楽しい会であった。あそこから「世田谷式ライフスタイル」を考えるのは至難の技。しかし、極上のヒントをきっと沢山頂いた気がする。

 夜、新宿で造園家の野口くんとROSESの会場構成についての打ち合わせ。時間もないので、スピーディーに対応してもらい、アイデアを整理しながら進めていく。植栽の全体のコンセプトとスケジュールについても少しまとまった。

 帰宅し「ほぼ日」連載『みんなの家。』の原稿と写真を読み直し、推敲を経て納得の行く状態になったので送信。それから、目黒川沿いをランニング。文章を書くのに疲れ切った頭を冷やすためにも効果的なようだ。小出監督流、チェンジオブペースを取り込むも、まだベースとなる体力/脚力がついてないのでバテバテ。身体も重すぎる。いやはや。

 深夜、難波先生のレクチャーで気になった『重力ピエロ』(監督:森淳一、2009)のDVDを早速見る。とても面白かった。たしかに家族という枠組みが崩壊寸前のところで何度も変容していくものの、表面的でフラットな関係性は強固な絆となって別の形で現れてくる。伊坂氏の原作が読みたくなった。主演の二人は絶妙なキャスティング。

8月6日(土)
 午前中、事務所の整理と仕事の準備。打ち合わせ一本。午後、メールなどの雑務とデスクワーク。ROSESのあれこれを進める。布の展開について考える。凱風館の追加工事リストなどもにらめっこ。来週からの現場での打ち合わせポイントについても考える。

 夜、茅場町にて森岡書店に初めて行く。実にレトロな空間で、どこかゆとりのあるゆったりした空気が漂い、古書たちもいきいきしていた。いくらでも時間を過ごせそうな店。そこで、お世話になっている編集者の伊熊さんが「いつもの東京」と題して写真展を開催。とても落ち着いた品のある写真で、東京のささやかな日常が丁寧に切りとられていた。そのピントのズレや対象のコンポジションから「その瞬間」という美しい時間がこつこつと流れていることを再認識させられるような柔らかく美しい写真が並ぶ。そして、特別コンサート弦楽5重奏。伊熊さんのバイオリンは初めてで、実に多才な方であることを改めで実感。周りにも素敵な方々が集まり、みなが動いてうねりが生まれる。その後、打ち上げにも参加させてもらい、学生時代からお世話になっている横山女史や森岡さんらと盛り上がる。

 深夜『東京原発』(監督:山川元、2004)のDVDを見る。実にディープな映画。311以降の福島第一原発の歯がゆさが残る今、この映画の意味するものは大きい。強烈なインパクトをもって伝えられている内容は、今の日本人は一切笑えないレベル。むしろ、面白いほど今の現実に類似していて笑けてくる。しかし、やはり「無関心」ということが一番の罪ではないかと思ってしまう。そこのところを自省し、個々が真剣に考えていく必要があるのではないだろうか。いやはや、凄い映画だったな。

8月5日(金)
 朝8時、成田空港に着陸。フライトのほとんど全てを寝て過ごす。長時間寝たが飛行機の中なのでなかなか疲れは取れてない。しかし、何より日本に帰ってきて蒸し暑い湿気にぐったり。

 成田エクスプレスで帰宅。とんかつを食して元気をつける。午後、打ち合わせの整理をして、すぐさま自転車で表参道へ。ROSESの会場構成について打ち合わせ。近況をアップデートし、できることをまとめていく。続けて、KLEEの太田菜穂子さんと打ち合わせ。プロジェクト「Forest Among Us」についてアップデート。今後の展開についても話し合う。それから白井版画工房に顔を出す。刷師の白井先生と版画について話し、近況報告をする。

 夜、神保町の三省堂にて加藤典洋氏の『耳をふさいで、歌を聴く』(アルテスパブリッシング)の刊行記念トークを聴きに行く。新潮社『考える人』の元編集長である松家氏との対談。加藤さんが音楽に対して素人として接することができることが新鮮で、面白かったとのこと。その比喩としてしらない机の上にある物について語ると言った言葉が印象的。何よりフィッシュマンズについて書き続ける熱意について語られた時のその真摯なコミットメントに感動する。

 深夜、荷ほどきをして、部屋を綺麗にする。

8月4日(木)
 朝、8時までしっかり徹夜して、泊めてもらった友人夫妻に挨拶しテーゲル空港へ。フランクフルトを経由して、成田空港まで、16時間ほどの旅。8月4日という一日は、時差の関係もありあっという間に、雲の上で過ごすことになった。爆睡する。

8月3日(水)
 ベルリン3日目は雲はあるものの晴れ。明日からまたベルリンの天気は下降線とのことで、つかの間の晴天を捕まえたようだ。自転車で見慣れた風景をどこにいくともなくサイクリング。昼前、事務所でのボスであるルイーザ・ハットンとランチ。3年半分の近況報告をし、レクチャーについても話す。元所員が日本で頑張っているのをとても喜んでくれて、将来的にもいろいろとまた一緒にしたい。

 午後、ハッケシャーマルクトで高橋徹夫妻と合流し、アンペルマン・ショップで買い物に付き合ってもらい、お散歩。ふらふらっと入った眼鏡屋で素敵な眼鏡をみつけて衝動買い。今回のドイツ凱旋の記念品として自分に買った。お茶をしてお別れし、ic!Berlinの会社を訪問する。ラルフ社長が工場だった建物の屋上に連れて行ってくれて、案内してくれる。さすがイノヴェイティブな会社、素晴らしい職環境の中、素敵な眼鏡たちが生産されているのを実感。僕がデザインした『hikari』の最終版をもうワンセット頂く。メールのやり取りしかなく、顔のしらなかったデザイナーともついに会えて、つくっていく工程を説明してくれた。第2弾についても意見交換し、実現させたいものである。

 夜、泊めてもらっている友人たちと仕事帰りの同僚たちと食事。ケーゼシュペッツェル。ビールもたらふく飲んだ。スペイン人の友人は夏休みのブラジル帰りで、色んな話が飛び交う。昔を思い出した。深夜前、みんなとお別れし、別の友人の誕生会に参加。こっちは日本人による宴。話題は専ら今の日本について。外国に住んでいると、日本人もまた違った見方で日本が見えたりすることを実感。空がまだ暗い内に別れを告げて帰宅。荷造りをして、徹夜で明日のフライトに備える。出国の時の日本のハラハラだけは避けたいものだ。

 この旅は、大変充実したものとなった。世界遺産のフェルトリンゲン製鉄所でシンポジウムに参加し、後半は昔懐かしのベルリンで多くの友人たちと再会した。さあ、たっぷり充電完了。帰国したら「凱風館」をはじめ、しっかり仕事を進めたい。

8月2日(火)
 ベルリン2日目は快晴。気持ちよく晴れた街を自転車で散策。まずは自分が昔住んでいた家の前に行って、懐かしいでこぼこ道をサイクリング。それからハッケシャーの裏辺りにある、バルコミーズ・カフェで一人チーズケーキを食す。このカフェがベルリンの中でも好きなカフェのランキング上位であるのは間違いない。濃厚チーズケーキはやはり美味、味は変わってなかった。

 昼、ザウアブルッフ・ハットン・アーキテクトに行く。事務所は同じ建物に今もあるが、上層階を改築したため、そのリニューアルした事務所を見学。その新しい最上階で再度『Rearranging architecture by Nature』のレクチャーを元同僚たちにする。みな「凱風館」のデザインに興味を持ってくれて、フィードバックをもらう。半年前から合気道を始めた同僚もいて盛り上がる。

 夕方、ペーター・ベーレンス設計の元AEG工場が今はTUの土木学科として活用されているのを構造のドクターを勉強中の増渕基さんに案内してもらう。彼のやっている研究などの話も聴かせてもらい、その後建築案内。実に軽い鉄のフレームにガラスのカーテンウォールが入った美しい建築。何より、夏の光が煌々と入ってきて明るい空間が元気を与えてくれるようだ。

 夜は、ベルリンで一番お世話になっていたコントラバス奏者の高橋徹さん夫妻と食事。徹さん宅に毎度のことお邪魔して、つもり話が大いに盛り上がり、またどこのレストランに行くよりも美味しい手料理を頂く。ボンゴレ/トリュフ/ポルチーニのパスタを食して、締めはラム肉。いやはや、大変美味しかったし、何よりこうして美味しい物を食べながらいろんな話ができて、時間がフラッシュバックしたかのような気分になる。またの再会を約束し、深夜すぎ帰宅。

8月1日(月)
 午前中、ドイツ・アーキテクト・センターに行って、今回僕をシンポジウムに誘ってくれたフロリアンを紹介してくれたキュレーターのマティアスに挨拶に行く。とても素敵な方で初対面とは思えない盛り上がり。その場で僕もパソコンを出して、レクチャースライドを駆け足でプレゼンする。伊勢の式年遷宮や三仏投入堂に興味を持ったようだ。また僕のドローイングにも反応し、ぜひいつか展覧会を企画したいと言って頂いた。こうした顔の見える気持ちのいい関係はきっと人生を豊かにしてくれる。マティアスも最近キュレーションした2050未来都市の展覧会などをマックから見せてくれた。

 昼、元同僚が独立した設計事務所を覗きにいく。5人で独立し、3つほどのプロジェクトを回しながら頑張っていたい。当時から意欲的な同僚だったので、こうして独立してるのをみると刺激になる。午後、友人からチャリを借りて3年半ぶりにベルリンの街に繰り出す。どこに行くともなくミッテ/アレクス/ハッケシャーのあたりを自転車でサイクリング。しかし、不思議なもので「変わらないベルリン」がそこにあるので、僕はタイムスリップしたかのような心持ちになった。スーパーに入ってアボカドとハムとチーズとルッコラを買いたくなった。

 それから美術館島に行ってデヴィット・チッパーフィールド設計のノイエス・ミュージアムに行く。ネフェルティッティとの再会を果たす。しかし、この美術館は一見の価値あり。新築の美術館でなく、既存の美術館を丹念に修復し、またその空間のもつ構造的な特性を考察し更に魅力あるものへとリノベーションしている。何より印象的なのはその素材の使い方。実に丁寧に企画されたコンクリートや石が新旧の空間をブレンドするように配置されている。(レンガもコンクリートも含めて)石の空間に対して、木の床や胴板のエレベーターホールなどが来客を迎えてくれる。朽ちた壁と新しい壁が調和の下に新しい時間をこれから刻んでいくだろう。これほど控えめでミニマルに、しかし強度と存在感があるリノベーション建築は希有。あっという間に3時間以上が経っていた。いやはや、チッパーフィールドの代表作であり、歴史に名を刻んだことは間違いない。

 夜、泊めてもらってる友人と同僚たちとピザを食す。4年前にもみんなでこうして食したことを思い出しながら、長い近況報告を続ける。明日は、事務所に行ってレクチャーすることになった。その後、また別の友人たちともベルリンらしいバーで一杯飲む。深夜、「ほぼ日」の原稿を再度チェックしてメールを送信して寝る。

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